愛犬のために てんかんのおはなし

部屋でくつろいでいたワンちゃんが突然手足を突っ張って倒れ、呼びかけに反応せず、その後今度は手足をばたつかせ、しばらくしたらフラフラしながら我に返り、呼びかけにも反応するようになる・・・こんな経験をされたワンちゃんの飼い主さんは案外少なくないのではないでしょうか。このような徴候が見られたら、もしかしたら「てんかん」かもしれません。
何らかの理由で大脳の一部または大脳全体が異常な興奮を起こし、身体の様々な部位が意図しない動きを繰り返すことをてんかん発作といいます。てんかんは、この「てんかん発作」を繰り返し起こす病気で、人やワンちゃんを含めたほぼすべての哺乳動物に起こる可能性がある脳疾患と考えられています。

てんかん発作はおおまかに、原因が明確である「症候性てんかん」と、特徴的な原因が見つからない「特発性てんかん」の2つに分けられます。
症候性てんかんでは、脳腫瘍や脳炎、脳奇形(水頭症など)、脳血管障害などがてんかん発作の原因となります。また、脳自体に問題はなくても、肝機能低下、低酸素症、低血糖、中毒などによって脳がダメージを受けてしまうと、てんかん発作が起こる原因となります。
 特発性てんかんでは、脳や体に特に異常が見当たらないのにてんかん発作を繰り返します。特発性てんかんはネコちゃんよりもワンちゃんで多く見られ、発生率はワンちゃんで1~2%、ネコちゃんで0.5%程とされています。特発性てんかんの発症年齢(最初のてんかん発作)は 1~5歳齢に最も多いと言われています。また、遺伝的な要因が関わっている可能性が指摘されており、遺伝的な要因が疑われている犬種としてはビーグル、シベリアン・ハスキー、シェットランド・シープドッグ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ジャーマン・シェパード等が挙げられています。

てんかん発作症状には、脳全体が異常な興奮を起こしている全般発作でみられる「全身的なけいれん」や、脳の異常な興奮が一部分に起きている部分発作(焦点発作)でみられる「幻覚が見える」、「身体の一部分のけいれん」、「同じ行動を繰り返す(ハエ噛み行動など)」「急激な感情の変化」などがあります。
けいれんはワンちゃんのてんかんではよく見られ、ピーンと全身をつっぱったり(強直性けいれん)、ジタバタしたり(間代性けいれん)、これらが組み合わさったり(強直間代性けいれん)するのが認められます。全身的なけいれんの場合、意識を消失していることが殆どです。
ひとつのてんかん発作が長時間(30分以上)続いたり、てんかん発作が終わった後すぐに次のてんかん発作が連続して始まるような状態を「発作重積」と呼びます。また、1日に2回以上のてんかん発作が起きることを「群発発作」といいます。どちらも重篤な場合は命に関わるので速やかに動物病院を受診し、治療する必要があります。

 てんかんの治療には抗てんかん薬を用います。抗てんかん薬はてんかん発作の原因となる脳全体の興奮を抑えることができます。ただし、この薬の仲間は、一定レベル以上の血中濃度を保たないとてんかん発作を抑えることができません。そのため毎日決められた回数、時間で投薬しなければならないので注意が必要です。また、投薬中は一定期間ごとに血液検査を行い、抗てんかん薬の血中濃度がてんかん発作を抑えるのに必要なレベルを超えているか、肝臓に負担になっていないかなどを確認する必要があります。
 症候性てんかんの場合は、てんかん発作を抑えるだけではなく、てんかんの原因となっている病気を治療することも重要となります。

 てんかんは基本的に完治させることが難しく、特発性てんかんでは一生涯を通じた投薬が必要になることが多い病気です。さらに、抗てんかん薬を使用していても完全に発作を抑えられるケースはまれで、治療を行っていてもてんかん発作を起こすことがあります。発作の頻度をいかに減らして「生活の質(QOL)」を維持していくかが最大の治療目標になるので、複数種類の抗てんかん薬を併用することもしばしばです。
しかし、発作のコントロールがうまくいけば、継続的な投薬は必要であるものの、天寿を全うする子が多いのもてんかんの特徴です。発作を見守る家族には、とても苦しそうに見えるので負担が大きいのも事実ですが、『この仔の個性』ととらえて生活するおおらかさが、発作の頻度を軽減するきっかけになるかもしれません。

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