愛犬のために 尿路結石のおはなし②

皆さんのご家庭には、ストーブの前から離れない寒がりワンちゃんやネコちゃんはいませんか?そんな寒がりワンちゃんやネコちゃんを家族にしている飼い主さんには、特に注意をして欲しい、時に命にかかわる事態をも招く恐れがある、尿路結石についてのお話の続きです。
今回は、この結晶が見出された場所に所縁のある鉱物学者の名前にちなみ、ストルバイトと呼ばれることが多い、ワンちゃんの尿石症の中で最も多く、ネコちゃんでもよくみられる、リン酸アンモニウムマグネシウムについて大事なポイントをご紹介したいと思います。

どんな仔に多いの?
⇒ストルバイト結石はどんなワンコにも起こりえますが、アメリカではミニチュア・   シュナウザー、プードル、ビションフリーゼ、コッカ―・スパニエルに多いことが知られています。国内動物健康保険最大手のアニコム損保が2014年に公表した統計によると、尿石症を含む泌尿器疾患の犬種毎の罹患率は、パグ、フレンチ・ブルドッグ、ミニチュア・シュナウザー、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの順に高くなっています。

どうして結石が出来るの?
陰部から尿道を伝って膀胱の中まで入ってきた細菌が、おしっこに含まれる尿素を分解する酵素を持っていると、尿素を分解しアンモニアと二酸化炭素を作り出します。アンモニアが増えるとおしっこはアルカリ性になり、アルカリ性では溶けていられる量が少なくなってしまうストルバイトは、析出し結晶化しやすくなるのです。ストルバイト結晶の一つ一つは顕微鏡でないと見えないほど小さなものです。しかし、細菌感染による膀胱炎で膀胱内側の粘膜に細かなキズがあると、そこからストルバイト結晶が寄り集まりやすい核になるものがはがれやすくなり、はがれた粘膜のかけらを核にして結晶がたくさん集まると、目に見えるほどの砂状になり、さらに大きな結石に成長していきます。

結石ができるとどうなるの?
⇒砂状の結石であっても大きな結石であっても、膀胱の中でゴロゴロ動き回ることで、膀胱内側の粘膜を大きくキズ付けます。すると、さらに膀胱炎が悪化し、膀胱内側の粘膜からの出血による血尿がみられることがあります。膀胱から排泄されるおしっことともに尿道に流れ込んで、途中で詰まっておしっこが出にくくなってしまうこともあり、最悪の場合、おしっこ詰まりで急性の腎不全になり、命を落とす危険もあります。

男の子と女の子で出来やすさに違いはある?
⇒ワンちゃんのストルバイト結石は男の子に比べて女の子で出来やすいことが知られています。
それは、尿道が短くまっすぐな女の子の方が細菌性膀胱炎をおこしやすい事が関係しています。しかし、男の子でも細菌性膀胱炎になることはあり、細菌性膀胱炎がストルバイト結石の誘因になることに性差はありません。

その他の注意点と対処法は?
⇒ワンちゃんに比べてネコちゃんでは、細菌性膀胱炎を併発しているストルバイト尿石症はごく若齢時と老齢期を除いてわずかであり、高い尿濃縮能による濃いおしっことその中に含まれるミネラル類のバランスの崩れが誘因になることが知られています。フードやおやつに含まれるマグネシウムの摂取量の多さがストルバイト結晶の発生と結石化に大きな役割を果たしていることが分かってきており、マグネシウム含量に配慮したフード類を、フード以外のおやつに含まれるマグネシウムも考慮して食べさせるというような注意と、十分な量の水を飲ませる工夫が必要です。
性別にかかわらず、暑い時期に比べて飲水量が減ってしまいがちな寒い季節には、お水をあまり飲まないとオシッコが濃くなり、そのせいでストルバイト結晶が析出しやすくなります。寒い冬でもちゃんと運動して、しっかり水をのませることが大切ですが、雪道の散歩では歩いてくれなかったり、ストーブの前から離れないといった仔には、冷たい水道水ではなく、少し温めたものを用意してみると良いかもしれません。それでもあまり水を飲んでくれない仔には、ほんの少しだけお肉やササミの湯がき汁を加えてみると良いでしょう。

もし、みなさんのお家の仔が、したそうにしているのにおしっこがでていなかったり、少量のおしっこを頻繁にしたり、おしっこの色が茶色やピンク色がかっていたりしたら、すぐにかかりつけの動物病院を受診してください。適切な治療を早期に開始し、一定期間継続することで、早い回復が望めます。逆に、目に見える症状がみられなくなったからと、療法食や投薬を自己判断で中止すると、再発の可能性が高まってしまいます。もし、尿石症の治療中ならば、かかりつけの動物病院の先生の指示を守り、絶対に自己判断で中止しないようにしましょう。
これからの季節は、運動量が減り、飲水量も減ってしまいがちです。飲水量が減ってしまうと、おしっこは夏場に比べて濃くなりがちです。膀胱に濃いオシッコをため込んでいると尿石ができやすくなり、結石が原因で命に危険が及ぶことがあることを覚えておいていただき、家族の一員である皆さんのお家のワンちゃんやネコちゃんとの幸せな日々のためにも、毎日の食餌やお水、おしっこの様子のチェックを習慣にしてみてください。

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